日本の貧困、ワーキングプア

http://www.nhk.or.jp/special/onair/060723.html

ワーキングプアについてのドキュメンタリー、さきほどNHKで放送・・・
まったく、これは構造的な問題であり、また、構造を客観的に踏まえてなかったという政策的な問題と思う。

たとえば、雇用構造の(流動化への)転換期に日本独自の長期的労働者派遣ビジネスが大型産業として形成されたことや、また、産業保護政策の転換期(農家や小規模商店も)や世界に類をみない経済圏の首都圏集中といった長期トレンドに対し、・・・構造の変遷予測とこれに従った人口構成上の雇用政策が必要だったわけですね。
(そういや、村おこしとか、そんな牧歌的なノリだったよ〜な〜気がします。)


インタビューを受けた識者の一人は

  • 適切な(産業上の)競争が先にあって弱者の雇用はそこに生じるべき
  • (個人が)競争に参加する機会は妨げてはならない
  • (個人が)競争に負けたらそれはしかたない

といった内容のことを言っておりました。


しかし、私は次のような論点が必要と思う:

1)不公平競争の一定の発現性の織り込みと、再公平化を織り込む社会的システムの形成
競争自体が常に公平な環境で行われるという保証がないため、経済的弱者=生産能力的弱者は常ではなく、逆に、経済的強者=生産能力的強者も常ではない。(後者は保護政策全盛期やバブル期を思い返せばうなづけるかも)


2)雇用流動性の多様化
日本の雇用構造では、採用時期や、一定の世代以上の正規社員についての流動性が乏しい(解雇率も雇用率も低い)。流動性がもともとある北米では失業率が高いが失業期間が短い。日本はいったん解雇されると再雇用が困難。若年層については欧米では卒業後の初就業時期が固定されていない(これは大学教育の問題を比較して相似かも)。
http://wwwhakusyo.mhlw.go.jp/wpdocs/hpaa199501/b0063.html
http://wwwhakusyo.mhlw.go.jp/wpdocs/hpaa199501/img/tb2.1.2.11.gif
厚生労働省の資料だが日本94年と米86年での比較なので離れすぎ。感覚としては頷けるがもっと最近の資料はないのかな〜。


http://www.meti.go.jp/hakusho/tsusyo/soron/H09/02-04-03.html
http://www.meti.go.jp/hakusho/tsusyo/soron/H09/H04-03-18-00.htm
これも結構前の通称白書から。欧州の一部は失業が長期型だが保護が厚めのため日本と状況が異なる。


http://www.meti.go.jp/hakusho/
毎年同じ形式じゃないから探すのが一苦労だワ。検索機能もなんかエラーだし。


3)日本における労働者派遣事業者の既得権益と、社会的要請の調整
日本では、欧米のようなパート正規社員やタイムシェアではなく、非正規社員雇用が主要な長期雇用形態として定着、大型のビジネスに展開してきたという独自性。
http://www2.mhlw.go.jp/kisya/daijin/20000621_02_d/20000621_02_d_matome.html

 米国での労働者派遣事業について
 ・人材供給サービス業(民間職業紹介及び派遣)に携わる労働者数は増加している(90年153万人→98年323万人)。
 ・人材関連産業の売上は増加している。
 ・派遣期間について特別の規制はなく、一般的には1年以内、普通は2〜3週間の短期間が多いといわれている。
 ・派遣労働者の多くがのちに派遣先企業に採用されている。
 ・オフィス事務、生産事務の割合が高い。

※ちょっと5〜10年くらい前の資料なので単純に比較はできないが。どうもアメリカの場合は職場機能単位のアウトソースのビジネスが確立しているという点も、雇用構造の違いに関係か・・・


また、あとで処方箋案を追加しよう。。。


〜参考引用〜
NHKホームページはすべてNHKの著作物です。次の点にご注意いただいた上でご利用下さい。

NHKのホームページの画面あるいは内容を 
自分のホームページに取り込んではいけません。 

とあるので今回は引用はここまでとします。なので番組へのリンクをご参照。 著作権法32条(引用)だと報道・批評・研究等の目的はokでは? http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%95%E7%94%A8#.E6.9D.A1.E6.96.87

いや〜、このようなドキュメンタリーが今まであまり目に付かなかったのが問題というか。しかし、秋田県1人あたり所得234万円は東京の約半分・・・と解説があったがこれだけは焦点がぼけていたかも。

「北陸の1人当たりの県民所得は、関東、中部に次いで多い。」
http://www.rikuden.co.jp/review/compare.html


こっちはH12までの県別資料。1人当たり県民所得(142KB)のエクセル表がある。
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/kenmin/h15/main.html


こっちは97年だけピックアップ。たしかに東京は断トツだが。
http://www.php.co.jp/fun/the21/detail.php?page=00-4-4.html


秋田県その他地域経済については以下が興味深い。
http://www.rieti.go.jp/users/kainou-kazunari/
→「○ 「地域経済の動向変化の要因分析」 (上記資料の概要版) → ■[PDF 0.7MB] 」